
法律事務所の事務職員の求人を見ると必ずといっていいほど「電話応対」があります。一般企業で事務職をした経験のある方であれば、誰でも経験のある業務です。あまりに当たり前の業務なので、転職希望者の方の中には、わざわざ経歴書に書かない方も多くいらっしゃいます。それくらい当たり前で軽視されがちな電話応対業務ですが、こと法律事務所ではその捉え方は異なるようです。
最近、ある複数の法律事務所で電話応対業務について話題になったことがありました。電話応対が最も難しく、新人に教えるのに苦労するというのがほぼ共通した意見でした。
これは法律事務所業界の特殊性からきているのだと思います。
法律事務所の顧客は、自己の財産や生活にトラブルを抱えている人(社会的・経済的弱者の方も多い)が多く、追い詰められたギリギリのところにいる人も多いと聞きます。私たち通常の生活を送っている人には想像もつかないようなストレスに苛まされている人たちです。病院の患者さんとよく似ているといわれますが、そのストレスのせいで、わがまま、嘘をつく、短気ですぐ怒る、約束を守らないなどいう人も多いようです。そのような方々に対する電話対応などは、最大限にして細心の配慮をする必要があり(職員の心無い一言によって、取り返しのつかない行動に出ないとも限らないですし)、それだけでも事務職員の方の相当な気苦労があることは想像できます。
私たち営業マンは日課として電話営業をしていますが、そのアプローチ先はほとんどが法律事務所です。じかに事務職員さんの対応を受けることになるのですが、事務職員の方の電話対応は(名乗るだけでも)事務所によって多種多様です。非常に丁寧な事務所もあれば、びっくりするくらいぞんざいな対応をされることもあります。がなり声で早口でまくし立てられることもあれば、ゆったりと落ち着いて対応されることもあります。
やはり、しっかりと気遣いのできる対応を習慣付けられている事務所はとても気持ちのよいものです。第一声を聞いただけで「ああ、この事務所はこの一言だけで依頼人の心をつかむだろうなぁ」と感心してしまいます。
この電話応対こそ最も奥の深い立派なスキルなのだと、改めて考えさせられます。